福岡 小倉の精神科、南ヶ丘病院

医療法人 清陵会 南ヶ丘病院
教育担当 師長小野
総合病院等での勤務の後、看護教諭の資格を取得し看護学校にて学生教育に携わる。令和3年より現職。院内教育の制度設計から実際の教育まで広く担当する。
スーパー救急病棟 師長大石
当院でスーパー救急病棟の立ち上げから関わり、同病棟の師長として病棟運営に携わる。看護実習指導者として看護学生の実習指導も担当。
急性期病棟 主任白土
好きな精神看護を学び、自らスキルアップするために当院に入職。医療安全委員会など、委員会活動にも積極的に参加。最年少で看護主任を歴任。
※肩書きは対談当時のものとなります。

人と、こころと、触れ合いたい。
だからこそ南ヶ丘病院で働く。


大石
私は現在、スーパー救急病棟の師長を務めています。白土さんは急性期治療病棟で主任という役割を担ってくださっていて、小野さんは2021年に看護学校の教員という立場から南ヶ丘病院に来て下さいました。私たちは南ヶ丘病院が大切にしている「学びつづける、変わりつづける」というバリューを実現するために、南ヶ丘で働く人たちにどんな機会を提供できるのか、そんなことを今日は考えたいと思います。
白土
大きなテーマですね。私も南ヶ丘病院の前に、いくつかの病院を経験してきました。のびのびと自分が成長できたと思えるような時もありましたし、逆に辛いと思ってしまっていた時もありました。南ヶ丘病院で働く人たち、特にこれからの南ヶ丘病院を創る若い人たちが、のびのびと学びつづけられる病院にしていきたいですね。そういう意味でも、小野さんが南ヶ丘病院に来てくださったのは、とても心強く思っています。小野さんの教え子の方も、南ヶ丘病院に何人も入職してくれています。
小野
実は私、24歳まではOLだったんです。いわゆるバブルの時代ですね。当時会社の先輩たちが続々と結婚退職をしていく中で、支店長から「小野さんは結婚しても30歳まで働いていいよ」って言われたんです。今では考えられないことですけれど、そういう時代だったんです。私は「ずっと仕事をしていたい」と思って、看護学校に通うことにしたんです。
大石
そうだったんですね。本当に今では考えられないことですが、昔はそういう古い考え方が、確かにあった時代でしたね。
小野
今では考えられないという点では、働き方もそうですね。ある病院で働いていた時は、本当に忙しくて。朝から17時までの間に、椅子に座るのはご飯をかきこむ時だけ。それまで記録なんか一度もできないので、17時に終わってから記録を書いて、翌日の準備をして帰るのは22時、というような働き方でした。当時の師長さんからは「受け持ちの患者さんのところ、行かなくていいよ」と。「話さなくていいから、帰りなさい」と、今思えば私たちを気遣って、仕事が少しでも早く終わるように、という意図だったのだと思います。でも、私はそれがショックで。

患者さんと話をして、辛いことを分かち合う中で、少しでも患者さんの負担を少なくすることが私の仕事だと思っていたので、それをしなくていいなら、ロボットでもいいじゃないか、って思ったんです。「看護をしたい」「患者さんと話をしたい」という想いが強くなって、だったら精神科に行こう、って。
白土
小野さんの気持ち、すごく分かります。私が辛いと思った時期も、そういう時でした。私は新人時代に外科だったので、そもそも力不足というのもあったんですけれど、時間に追われて、患者さんとちゃんと向き合うことができない。実習の精神科看護の時に、じっくりと時間をかけて、人と関わるということが好きだったので、やっぱり精神科看護に戻ってきた、というのはありますね。
小野
私が精神科の病院に移った時に、今の南ヶ丘病院の看護部長が当時の病院の看護部長で。その後、私は縁あって看護学校で教鞭をとる機会があり、その時に看護部長にも再会して「もし次に現場に戻るなら、ぜひ南ヶ丘病院で!」と声をかけて頂いた、という経緯です。
大石
本当にご縁ですね。小野さんも白土さんもおっしゃっていましたが「患者さんと向き合いたい」という人が精神科の看護師には多いと感じますし、南ヶ丘病院を選んで入職してくれる人は、特にそういう想いを持った人が多いと思います。

学びたいことを学べるように。
日々の成長を実感できるように。


大石
私が南ヶ丘病院で働き始めたのが2012年10月で、その半年前の4月に今の小原先生が南ヶ丘病院の院長に就任されました。以前のことは私も詳しく分からないのですが、入職した当時から、小原院長は「学びの機会を創る」ということに力を注がれていたと感じます。院内資格の制度ができたり、看護師も学会に学びにいく機会があったり。私は、これまで院長が主導で進められる施策をサポートするという立場でしたが、師長という立場になったことで、どんな機会を提供するべきか、考えて実行する役割になりました。

若いスタッフが私たちから見て「学ぶべきこと」はたくさんありますが、やっぱり彼ら彼女ら自身が「学びたいこと」が大事だと思っていて、スタッフ自らが考える施策の実現を支援してあげたい、と考えています。スタッフからは「患者さんと密接に関わる中で学びたい」という声が多いので、現場の仕事の分担を工夫して、様々な業務を経験できるようにしたり、様々な患者さんの状況を全員が共有して学ぶカンファレンスをスタッフ自らが主導で行えるようにしたり、そんな取り組みをこの1年の中で進めています。
白土
大石師長が主任だった時代に、一緒にお仕事をしているのですけれど、当時時々あった「あれ、大石主任どこ行った?」っていう時は、大石さんはいつも患者さんのところにいたんですよね。それがすごく印象的です。師長になられてからも、患者さんとのコミュニケーションを通じて学ぶ、ということを病棟内で実践されていますよね。
小野
すごく大切なことだと思います。南ヶ丘病院には、ビジョンやバリューが明確に示されています。ビジョンやバリューは、患者さんや働く私たちに対しての病院からの約束とも言えると思います。そして小原院長は、毎年4月に「今年1年はこんなことを目指して進もう」という指針を、全職員の前で話されています。それってとても大切なことだと思っていて、更に今度は「看護においてはどんなことができるようになればいいんだろう」ということを示していくことが、大切なことだと思うんです。

私が南ヶ丘病院に来て思うのは、南ヶ丘病院を選んで入職してきた人たちは、やっぱり「成長したい」という想いが強い。それは本当に素晴らしいことだと思います。でも、「自分が成長しているのかどうか」ってなかなか実感するのが難しいことです。それをステップ1はこんなことができること、ステップ2はこんなことができること、という風に示すことで、成長している実感を感じてほしいと思っています。
大石
それはすごく大事なことですね。病院には、評価制度や等級というものがもちろんありますが、それとは別に成長の指針や指標が示されている状態ということですよね。
小野
そうです。他者からの評価ももちろん大切ですが、それはある一定期間の中で、節目節目で行われるもの。日々の中で、もっと短いスパンで、自分が成長できているという実感をたくさん感じてもらうことが大切だと思っています。まだまだこれからですが、成長したいと思う人が集まる南ヶ丘病院ならではの、成長の道しるべをつくっていきたいですね。すでに南ヶ丘病院で運用されている院内資格制度、Q-projectといった施策とも連携させながら、考えていきたいです。

変わりつづける精神科医療
だからこそ、学びつづける、変わりつづける。


大石
「学びつづける」ということと合わせて、「変わりつづける」ということも、とても大切だと改めて実感します。精神科の医療は、他の医療分野よりも未知の領域が多い分野です。その分、新しい考え方ややり方が速いスピードでアップデートされていきます。
小野
おっしゃるとおりですね。今も看護学校に講義に行くのですが、いろんな考え方が短い期間でどんどん変化していくことを実感します。そういう意味でも、南ヶ丘病院のバリューでもある「学びつづける、変わりつづける」を実践することが大切ですね。
大石
若い人たちに学ぶ機会を提供するということと同時に、自分自身が変わりつづける存在でいなければ、と思います。
白土
そうですよね。精神科の看護って、本当に1日1日で学べることがたくさんある仕事だと思います。私自身も日々初めての出来事に遭遇したりする中で、先輩のやり方を見て学んできたことがたくさんあります。若い人たちがつまずくこともあると思うんですけど、「これができない」と思って苦しむことがあれば、「これはできているよ」と伝えてあげたい。私自身がそうやって、先輩たちに支えてきてもらったから、今度は私がそうやってサポートができたら、と思います。
小野
「できない」も「できる」も、曖昧にしないことが大事ですよね。「ありがとう!」「助かった!」だけじゃなくて、「これをしてくれたことが助かったよ」という言葉にすることで、伝わり方は変わります。例えば、ピンチの時に助けにきてくれた先輩は「何しようか?」と尋ねるのではなく「これするね」と先に動いてくれた。その違いを感じることが、成長に繋がるのだと思います。
大石
そうですね。スタッフは現場で毎日成長してくれていると思うので、その成長をもっと加速させられるように、サポートしていきたいですね。
白土
精神科の看護師って、そもそも精神科を好きじゃないと選ばないと思うんです。難しいし、大変なことも多い。それでも人と深く関わりたくて、学びたくて、精神科を選ぶのだと思います。その選択そのものに、自信を持ってほしいなと思います。選択が間違ってなかったと思えるように、精神科の看護のやりがいをたくさん感じてもらえるように、支えていきたいですね。

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