福岡 小倉の精神科、南ヶ丘病院

医療法人 清陵会 南ヶ丘病院
医師(院長)小原 尚利
平成18年に山口大学医学部を卒業し、九州大学病院精神科などの勤務を経て、平成24年より現職。平成28年9月よりDPAT先遣隊(福岡県)として隊員登録。平成30年4月よりDPATインストラクターに認定され、DPAT事務局・事業協力者として、DPAT先遣隊研修やDPAT統括者・事務担当者研修などの全国研修でインストラクターとして活動中。
医師森 亮平
平成23年に九州大学医学部を卒業し、内科医としての研鑽を積んだ後に、精神科医として歩み始めた。平成27年より南ヶ丘病院に入職し、その後精神保健指定医を取得。令和元年10月よりDPAT先遣隊(福岡県)として隊員登録。福岡県DPAT研修でファシリテーターとして活動中。南ヶ丘病院精神科医の若手リーダー。
精神保健福祉士村川 晃平
平成25年3月に福岡県立大学社会福祉学科を卒業し、同年4月に新卒にて精神保健福祉士として南ヶ丘病院に入職。スーパー救急病棟の立ち上げに関わり、ベッドコントロール・マネジャーとして病院運営に参与。令和元年10月よりDPAT先遣隊(福岡県)として隊員登録。福岡県DPAT研修でファシリテーターとして活動中。
精神保健福祉士川口 裕太
平成27年3月に福岡県立大学社会福祉学科を卒業し、同年4月に新卒にて精神保健福祉士として南ヶ丘病院に入職。患者さんに寄り添う医療を目指し、スーパー救急病棟でにて患者さんの退院支援・在宅支援を実践。令和2年11月よりDPAT先遣隊(福岡県)として隊員登録。福岡県DPAT研修でファシリテーターとして活動中。
看護師佐土原 亘
平成25年3月に宮崎看護専門学校を卒業し、同年4月に新卒にて正看護師として南ヶ丘病院に入職。スーパー救急病棟の看護主任。また自衛隊での入隊歴を活かし、平時より病院全体の防災担当者として防災活動を実践。令和元年10月よりDPAT先遣隊(福岡県)として隊員登録。福岡県DPAT研修でファシリテーターとして活動中。

福岡県最大数の
DPAT先遣隊を有する南ヶ丘


川口
DPAT(Disaster Psychiatric Assistance Team)とは、自然災害や航空機・列車事故、犯罪事件などの集団災害の後、被災地域に入り、精神科医療および精神保健活動の支援を行う専門的なチームです。災害派遣医療を行うDMATの精神科医療版がDPATです。南ヶ丘病院は、福岡県で最大数のDPAT先遣隊(72時間以内に被災地域で活動する隊)を有しています。今回集まったのは、南ヶ丘病院DPATの先遣隊のメンバーです。
小原
2011年の東日本大震災があった2週間後に、私は福島県いわき市の避難所を訪れ、精神科的な心の相談がある方々の診察を経験しました。改めて災害時における精神科医療の重要性、自分たちにできることがたくさんあることを知りました。DPAT草創期の頃に、DPAT先遣隊の講習に私が参加する機会があり、私自身がDPATのインストラクターの資格を取得しました。

DMATは阪神大震災をきっかけに生まれ、DPATは東日本大震災をきっかけに生まれました。東日本大震災の時には、精神疾患の患者さんも多く亡くなられています。また、震災をきっかけに心に大きな負担を負われた方もたくさんいらっしゃいます。日本は災害の多い国です。今後も、いつどこで災害が起こるかわかりません。当時はDPATがまだ発足して間もない頃でしたが、南ヶ丘病院にDPAT先遣隊というチームを誕生させることを検討していました。

医師・看護師・精神保健福祉士が
それぞれの想いを持ってDPATに参加


佐土原
私は、小原院長からDPATでの研修のお話を聞き、興味を持ちました。もともと災害医療については関心があり、DMATの存在は看護師になる前から知っていたのですが、DPATについて当時は知りませんでした。精神科の災害医療についても、看護師として貢献できることがあるなら、と研修に是非参加したいということをお伝えしました。
村川
私もDPATの存在は知らず、院長からの話で初めて知りました。DPATの班が、精神科医師・看護師・業務調整員という職種で構成されることを知り、ソーシャルワーカーをしている自分も、災害医療に貢献できると思い、研修への参加を希望しました。
小原院長がDPATのインストラクターをされていることは知っていて、自分も興味を持っていました。有事の際の活動というのは、平時の医療の延長にあると思います。実際の活動自体も大切ですし、DPATの研修を通じて、危機管理や指揮命令系統について学ぶことは、院内のマネジメントにも活かせると思いました。
川口
私は出身が熊本で、2016年の熊本地震の際には、家族・親族が災害を経験しました。そんな経験もあり、災害医療に興味を持ち、南ヶ丘病院にDPAT先遣隊が誕生することを知り、参加を希望しました。
小原
災害時の原則として隊員の安全を最優先して活動を行いますが、平時と違って有事での活動ですので、危険を伴います。それも踏まえた上で、南ヶ丘病院のメンバーが参加を表明してくれたのは、本当に心強かったですね。本人だけではく、ご家族や親御さんのご理解やご支援があってのことだと思いますので、感謝しています。
川口
幸いなことに現在のところ、DPAT先遣隊に派遣要請が来たことはないのですが、2020年の7月の豪雨で熊本の球磨川や筑後川が氾濫した際には、派遣要請の一歩手前で、準備を進めていました。
佐土原
緊張感はありましたね。DPATの先遣隊になったことで、大雨情報や地震速報などには、より敏感になりました。
何かあればいつでも動けるように、という心構えになりましたね。大雨などの状況になると、小原院長から隊員向けのグループラインで連絡が来て、福岡県に災害対策本部が立ち上がった等の情報が共有されます。その情報をもとに、段階に応じて準備を進めるという対応をしています。出動することがないことが、とにかく一番望ましいと思っています。ただ、何かあった時に動けるように、その準備はきちんとしておきたいと思っています。

「アンチ・スティグマ」の実践、
そして「災害に強い病院」づくりのために


村川
研修を通じて、自分が担当する「業務調整員」という役割の大きさも実感しました。他の医療機関や医療チーム、県本部とのやりとりなど、多岐に渡った連携が必要になり、医師・看護師が現場でしっかり動ける状況をつくる、という意味でも大きな責任を感じています。情報収集をして、適切な手段で関係各位に伝えていくという仕事ですが、普段の仕事にも通じることですし、DPATでの経験が普段の仕事のレベルアップにも繋がると感じています。
佐土原
そうですね。DPATの研修では、日本全国で災害医療に対する強い意志を持った医療従事者の方々と出会えるので、とても学びが多いです。精神科医療の最前線で学び続ける人たちと、交流して学べることも、非常に貴重な機会だと思っています。
川口
小原院長がDPATという組織自体の事務局を担当していることもあり、DPATの訓練・研修や、DMATの皆さんとの合同研修なども、南ヶ丘病院では数多く実施しています。DPAT先遣隊メンバー以外の南ヶ丘病院のスタッフも、興味がある人は参加・見学することができます。
小原
南ヶ丘病院がDPATという活動を進めることには、様々な意味があると思っています。1つは南ヶ丘病院のビジョンである「アンチ・スティグマ」の実践です。「アンチ・スティグマ」とは、精神科医療や精神疾患そのものに対する負の固定観念に立ち向かう、という意志です。災害の現場は、精神科病院から患者さんを避難させる時など、スティグマという負の感情が表出しやすい場面でもあります。また、精神科医療は救急や災害からは遠い存在と捉えられることもあります。だからこそ、「アンチ・スティグマ」を掲げる私たちが、DPATという活動を通じて、示せる新しい精神科医療の在り方があると思っています。

また、DPATでの活動や研修・訓練を通じて、南ヶ丘病院自体が「災害に強い」病院へとレベルアップしていくことも目的の一つです。かつて、南ヶ丘の近くの川の側にある保育園から「万が一の際には、南ヶ丘病院に避難してもいいですか」と相談を受け、「もちろんお迎えします」ということで、連携を強めています。入院している患者さんにとっても、「地域の保健室」としても、皆さんを守れる強い病院でありたいと思います。
佐土原
DPATという活動を通じて、南ヶ丘病院のバリューである「学びつづける、変わりつづける」を実践していきたいと思います。
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